診療科目 CAD/CAMインレー
メタルフリー化を目指して
クローバーデンタルでは、2023年4月よりメタルフリー化を目指します。
歯科治療では、多くの金属(メタル材料)を使用しています。特に、日本では国民皆保険の下、銀歯と呼ばれるメタル材料を多量に消費してきました。結果として、メタル材料は、国民のお口の健康を守ることに、大きく寄与してきたと言っても過言ではありません。もちろん、メタル材料、特に銀歯には、良い面も悪い面もあることは確かです。
良い面としては、頑丈であり、腐りにくく、噛む力に耐えられること。悪い面は、見た目やアレルギーなどが挙げられます。それでも、以前、保険として扱っていたアマルガムという水銀の入ったメタル材料に比べると、安全面は高い材料と言えます。
この歯科治療で使われるメタル材料は、どこからやってくるのでしょうか。日本国内で産出されたものが、日本人にだけ使用されているのでしょうか。いえ、そうではありません。例えば、銀歯は、合金であり、金と銀とパラジウムが主成分となっています。それぞれの金属の産出国は異なり、金属加工会社によって、仕入れる国が変わります。そして、産出国では、限りある資源を得るために、現地の労働者が今も尚、掘り続けており、その貴重な資源のある土地のために、内戦(紛争)が続いている国もあります。参考)https://www.terra-r.jp/activity_congo.html
つまり、日本で保険診療で使用されるメタル材料も、産出国の命をかけた労働によって、賄われている現状があるということです。
新型コロナウイルス拡大やウクライナの戦争によって、世界で起こっていることが身近になり、遠い国の出来事が、我々の周りにも影響することも実感できるようになりました。我々が、歯科治療においてメタルフリー化を目指すことにより、貴重な資源がさらに必要性の高い分野で使用される機会が増えたり、あるいは、産出国における重労働の減少や紛争によって救われる命があるかもしれません。現状においては、歯科治療において、被せ物を含むすべての材料ををメタルフリーにはできませんが、少しでも寄与できるように、これからの未来の子どもたちのためにも、一歩踏み出そうと考えております。
具体的な変更点について
具体的な変更としては、保険適応であるプラスチックの詰め物と被せ物(正式にはCAD/CAM キャドキャムと言います)を主として治療の材料として提案いたします。条件がありますので、すべての歯、もしくは、すべての方に提案できない場合もあるのですが、極力、銀歯ではなくプラスチックの詰め物で提案いたします。
最近、「保険適応の白い詰め物ができるようになったのですか?」という問い合わせがあります。おそらくこのCAD/CAMのことを指していると思いますが、実際には、古くからプラスチックの詰め物は存在していました。残念ながら、その材質上、壊れやすいものでしたので、保険に存在する材料であっても、歯科医師側が提案を避けていたという経緯があるのです。ですから、「保険適応の白い詰め物ができるようになったのですか?」ではなく、以前からあったけど、提案していなかったということが正しい答えとなります。
CAD/CAMの詰め物や被せ物は、簡単にいうと機械が作る詰め物や被せ物であり、3Dプリンターのようなもの、つまり、クローバーデンタルでいうセレックのシステムと例えるとわかりやすいと思います。歯科技工士が作る時代から、AIが作る時代となったのです。それが、1年前の保険改定で適応が拡がり、現在に至ります。正直なところ、今までCAD/CAMを扱ったことのない歯科医師が、保険適応となったからと言って、急に始めたため、業界に混乱が生じています。一つは、材料不足です。コロナ禍ということもあり、供給が間に合わない状況に陥りました。現在ではずいぶん回復しましたが、心配は残ります。また、CAD/CAMを始めたのはいいものの、最大の欠点である壊れやすさが露呈し、多くの再製作があるようです。これは、歯科医師側の技量と経験の不足も原因に挙げられるのですが、材料、つまりメーカー側の責任とされることもあり、事業から撤退したメーカーもあるようです。この状態が続くと、保険適応そのものから外される可能性もあります。
我々は、2014年にシンガポールのクリニックを視察し、2015年からセレックシステムを導入し、現在では、4000症例以上の経験をしてきました。その中で培ったノウハウを駆使すれば、保険適応とされているプラスチック材料のCAD/CAMであっても、ある程度の成果は期待できると信じています。
メタルフリー治療とは?
メタルフリー治療とは、読んで字のごとく金属を使わない治療のことを意味します。これまでの虫歯治療においてもっともポピュラーな素材である、金銀パラジウム合金を使用した銀歯は、目立つうえに金属アレルギーを起こす可能性があります。近年、銀歯のリスクに目が向けられるようになったことにより、金属を使わないメタルフリー治療に注目が集まるようになりました。
メタルフリー治療では白く美しいセラミック素材を使用します。天然歯に近く見た目が良いことに加え、金属ではない素材を使用しているため、安全性が高い点も特徴です。メタルフリー治療が推奨され始めたのは、審美性と機能性のメリットを併せ持っている点が大きいと言えるでしょう。
お口の中の金属(銀歯)が及ぼす影響
一般的に「銀歯」と呼ばれている金属の詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)には、銀ではなく金銀パラジウム合金が使用されています。
金銀パラジウム合金は、金・銀・パラジウム・銅のほか、インジウム等を含み、次のような悪影響が挙げられます。
金属アレルギー
金属アレルギーとは、金属が原因で起こるアレルギー反応全般のことを言います。
ただ一般的には金属アレルギーというと、ピアスやネックレスなどの金属に触れている皮膚が、赤く腫れたり、かゆくなったりするアレルギー反応のことをイメージされることが多いようです。
これを「アレルギー性接触皮膚炎」と言い、原因となる金属が直接接触している皮膚に症状が出ることが多いので、原因とメカニズムが比較的分かりやすいアレルギーです。
皮膚に接触している金属が溶けてイオン化し、その金属イオンが皮膚のタンパク質と結合すると、体はそれを異物とみなすようになるためアレルギー反応が起こります。
歯科金属アレルギーとは?
一方で、金属アレルギーの中には別なメカニズムで起こるアレルギー反応もあります。
歯科金属や食品の中に含まれている金属が、イオン化して口の粘膜や消化管で吸収されて、血流にのって全身に運ばれ、到達した先で汗などを介してアレルギー反応を起こすもので、これは「全身性接触皮膚炎」と言われています。
歯茎の色素沈着
差し歯の土台や被せ物の金属が溶け出して歯茎に沈着すると、歯茎が黒ずみ・変色を引き起こし(メタルタトゥー)、審美性を損ねます。
2次カリエス(虫歯)
2次カリエスとは以前にむし歯治療を行った部分が、再びむし歯になることをいいます。その原因は、詰め物と歯の隙間からむし歯菌が入ること、金属と歯の隙間を埋めているセメントが劣化して溶けることです。
現在日本の保険治療で認められている詰め物、セメントは口腔内で長期の安定が難しいと言われています。自由診療では使用する材料に制限が無いため、口腔内で長く安定する詰め物、セメントを用いることができ2次カリエス発生の予防につながります。
見た目が悪い
目立つ銀歯が気になって、笑う時に手で口を覆ってしまう人も多いです。白い歯列の中で、銀歯はやはり目立ってしまいます。
銀歯から発生する「ガルバニー電流」
アルミ箔を噛んで「キーン」とする嫌な感覚を体験したことはありませんか? これは、お口の中にある金属と、アルミ箔が接触することで微弱な電流が発生している状態であり、電流が歯の中の神経に刺激を与えることで起こります。これを「ガルバニー電流」と言います。
素材や性質が異なる金属が口腔内にあると常にガルバニー電流が発生している状態になり、この電流が長い時間をかけて金属イオンが溶け出すことで金属アレルギーの原因となるのです。ガルバニー電流による金属アレルギーを防ぐには、金属を一切使用しないセラミック素材を選択することをおすすめします。
保険診療のCAD/CAM治療 メリットとデメリット
メリット
・保険診療でも白い詰め物はいる
・金属ではないので、金属アレルギーの心配がない
・削り出しで作成するので、樹脂に比べて強度に優れている
・保険適応なので、自費治療の白い歯に比べて安価
デメリット
・白いですが自費治療に比べると歯と色調の違いがある
・最初は白いが、長期的にみると、樹脂が含まれているので黄ばんで変色する
・かみ合わせが強い方の場合は壊れてしまう可能性がある
CAD/CAMインレー保険適用へ(2022年4月診療報酬改定)
2022年3月4日、厚生労働省Webサイトにて、2022年4月の診療報酬改定に関する省令が公開されました。
この中で、特定保険医療材料であるCAD/CAM冠用材料において、材料定義の一部変更、材料価格の改正がなされ、CAD/CAMインレーが新しく保険適用となりました。
今までは被せもののみ対応していたのですが、部分的な詰め物もできるようになりました。
銀歯は縁から虫歯になりやすかったり、金属アレルギーのリスクもあるので口腔内はできるだけ銀を取り除いてあげることをおすすめしています。見た目の問題で銀歯を減らしたい方にもおすすめです。
金属の種類と危険度
歯科治療に使う金属にはさまざまな種類があり、その種類によってアレルギーが発生する危険度が異なります。イオン化しやすい金属のほうがアレルゲンになりやすく、危険度が高いと言われています。
危険度「ほぼゼロ」 | 危険度「低」 | 危険度「中」 | 危険度「高」 |
---|---|---|---|
チタン | プラチナ、ゴールドなどの貴金属 | アルミニウム、亜鉛、金銀パラジウム合金、銀合金 | ニッケル、クロム、コバルト、アマルガム(水銀) |
セレック®とセラミックはどう違うの?
セレック®とは、シロナ社製のCAD/CAMセラミックシステムのことです。世界には100社以上のCAD/CAMシステムがありますが最も歴史ある優れたシステムとなります。近年、CAD/CAMシステムが歯科界にも広がりつつありますが、当院では、いち早く5年前から取り入れております。 様々な疑問があると思いますが、まずは、以前から行なわれている「歯科技工士によるセラミック」とはどう違うのでしょうか。結論から申し上げると、使い分けが必要だと感じています。以下に、詳しく説明を記載させていただきます。
ジルコニアセラミック | セレック®システム | |
製作方法 | 技工士の手によるセラミック盛り上げ(歯科技工士が作る) | ミリンダマシンによりセラミックブロック削りだし(機械が作る) |
硬さ | 硬い | 硬い〜中等度 |
透明度 | 自然な透明感 | 透明感あり |
リアル度 | どこまでもリアル感を追求できる | ブロックの質感そのもの |
材料安定性 | 技工士による手作業のため技術に左右される | 工場製品のためばらつきがほとんどない |
期間 | 7日 | 最短1日 |
FGPテクニック | 使用できる | 使用できない |
前歯/奥歯 | 前歯 | 奥歯 |
費用 | 技工料金+技術料+材料費 クラウン¥115,000 インレー¥65,000 (インレーはジルコニア本体) |
技術料+材料費 クラウン¥65,000 インレー¥32,000 (即日加算¥10,000別) |
その他 | ジルコニアをベースにすることで 強度がさらに向上できる。 | 今後も発展が期待できる。他社の CAD/CAMは注意が必要。 |
よくある質問
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