[歯科医院地域一番実践会経営塾ベーシックコースに参加した感想]

CLOVER DENTAL 院長 山岡 薫

 今年は、CLOVER DENTALが開院して5年目の節目の年でした。2010年に開院し、半年後の大事な時期に、東日本大震災。開院して2回、閉院の危機がありました。資本なし、人脈なし、そして、ノウハウなしの状態から、ようやく5年経過したのです。

 銀行の融資を受けるために書いた事業計画書。3年後までの夢を書き記しました。どうにか、その計画を実行しようと、突き進み、努力し、幸いにも達成できました。しかし、その後の計画は…。行き詰まりました。

 自分の歯科医師としての腕を上げれば、患者さんは集まってきてくれる。そう信じていました。毎月、学術の研修に通い、投資し、学び続けました。しかし残念ながら、患者さんには、伝わりにくかった…。スタッフもどんどん離職していく…、人としても、信頼されることなく、医院の業績も伸び悩みました。

 そこで、何かに気づきはじめました。何かが違う!歯科医師になって、歯科医療を提供し、お口の悩みを持った患者さんを救いたい。「患者さんのために」。それだけなのか?歯科医師として、一人前になることが本当に患者さんを救うことになるのか?何かが違うと感じました。

 2015年。夫婦2人だけで参加した初めてのセミナー「夫婦経営成功実践塾」。ここで、この違和感が何なのか、気づかせていただきました。仕事、家庭、子供、スタッフ、周囲の人、患者さん…みんなに支えられ、CLOVER DENTALがある。そして、関わるみんなが幸せになること、それが、私の、本当に望んでいたことでした。不思議と心が落ち着いていきました。

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「自分だけが良ければいいのではない。みんなが成長できる場であること、そして、幸せになること。歯科医院として、会社として、そうあるべきだ!」

 同年、歯科医院地域一番実践塾の経営塾ベーシックコースに参加することを決意しました。スタッフを年間研修コースに参加してもらうことは、実は、初めての試みでした。それだけ、自分のことばかりだったのです。

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 経営塾ベーシックコース第1回目。リーダー選出の大事な回です。私は、リーダーへ立候補しました。ベーシックコースでは、全国から集まる歯科医院に関わるスタッフがシャッフルされ、1人のリーダーの元で、仮想歯科医院を作ります。そのチームで、様々な課題をクリアしていきます。「自分が変わらなければいけない!」そう思って立候補しました。ところが…。私の前には、誰1人並びませんでした…。なんとか笑顔を作るも、引きつっているのが、自分でもよくわかります。一緒に来た妻、スタッフとも合うことも出来ず、ただただ時間が過ぎていきました…。

 こんな誰にも選ばれることの無い院長に、うちのスタッフはどうして付いてきてくれるのだろう。妻にとっても同じです。自分の旦那が、だれにも選ばれない…心底落ち込みました。

 それとは裏腹に、実践をしていくと、みるみるうちに、医院の雰囲気が変わりました。もちろん、参加していないスタッフからは、反発する態度も見えたこともあります。でも、スタッフと約束したのです。リタイアするスタッフがいないようにすること。ですから、少しづつ、少しづつ取り組んでいきました。やっぱり自分には足りないことがたくさんあったのです。

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 第2回目の時、実践事例というものを初めて見ました。そこで、さらに愕然とします…。全国には、なんてレベルの高い歯科医院がある、そしてスタッフがいるのだろう。歯科医師として、院長として、経営者として、そして人として、落ち込みました…。ここまでの差があるのか…。秋田という土地で、限られた情報のなかで、過ごしていたのでは、秋田の人を幸せにすることはできない!歯科医師は歯科医療の研鑽だけをしていれば、歯科医院が潤うなどという10年以上も遅れた考えのままえは危険すぎると身を以て感じることができました。

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 もちろん、今のCLOVER DENTALでは、基礎や仕組みがないため、ベーシックに参加している他の医院さんのために、披露出来ることが限られてしまいます。たんに、学ばせていいただくだけです。しかし、それだけでは、周囲にみんなのためにできること、そして幸せになってもらうことという望みとはかけ離れていしまいます。ですので、いままでがむしゃらにやってきたことを実践事例として、読んでいただけるように、きちんとまとめ、提出することで、少しでも、ベーシックコースに参加している方へ、伝わるようにがんばることにしました。

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 そんな気持ちでまとめていたら、どんどん力が湧いてくるのです。こうした方が分かりやすいのではないか、写真も分かりやすいように、取り直してみたり、家族との時間は、少し犠牲にしましたが、とてもよくまとめることができました。みんなでやってきたことをまとめると、さらに感謝の気持ちが表れてきます。

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 第3回目。会場に入ったとたん、岩渕さんに、「すごいことが起こるよ」と声をかけていただいた時から、震えが止まりませんでした。テキストの裏表紙に、自分の名前を書けないくらいです。そして、実践事例集と開こうとする直前、「山ちゃん!すごいことになっているよ」「やったね!山ちゃん」というチームメンバーからの声とともに、妻とスタッフの伊東から、「先生、載ってる!載ってるよ!!」と。そして、開いてみると、そこには、「CLOVER DENTAL」の文字と実践事例が1つだけじゃなく、たっくさん掲載されていました!!より一層震えが止まらなくなりました。

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 第4回目までの期間も、気持ちは同じです。ベーシックコースに参加している全員の方に、少しでも参考になればと実践事例をまとめあげました。初心者という立場から、前の実践事例とは雰囲気がことなる内容でまとめてみました。みんなのためにできること、そして、幸せになってもらうことを望んで。

 第4回目。今度は、ドキドキしながら実践事例を開くと…そこにもCLOVER DENTALの文字がありました!前回よりも多く掲載されていたのです!もう驚きばかりで、手の震えが止まりません…。そして、これで、チームにも貢献できたと感じました!課題の取り組みだけでいっぱい一杯のサブリーダーでしたが、役目を果たせたでしょうか。

 この間もCLOVER DENTALもどんどん変化していきます。患者数や医業収入などの数値もそうですが、スタッフの変化が素晴らしく、雰囲気が良くなっていきます。これは、元々のスタッフの良さが表面に表れただけで、私がそれに蓋をしていたのでしょう。ようやく、蓋を少し外すことが出来てきたようです。

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 そして、12月19日(土)。CLOVER DENTALくりすますパーティ&賞与授与式。スタッフへ、初めての賞与を手渡すことができました。そこには、1人ひとりのNO1賞と、メッセージ。そして、プレゼントの絵本。スタッフも泣いていました…。全員に、配り終えたあと、みんなからのサプライズ!私と妻に、メッセージ入りの色紙とペンケース。それも、CLOVER DENTALに一番長くいてくれている庄司が企画したことだそうです。嬉しくて、初めてスタッフの前で泣きました…。

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 翌日の20日(日)。経営塾スペシャルセミナー&表彰式。

 子供たちと一緒に、東京へ向かいます。実は、夫婦経営成功実践塾から夫婦で出かけることが多くなったため、娘と息子には、大きな負担をかけていました。特に息子は、「どもり」がはじまり、ひどいときには、30秒ほど言葉がでてきません。「う~~~~、うーーーー、……美味しいね」美味しいねが、すぐに言えないのです。私が他の研修で出かけようとすると「東京ダメ!」と東京という言葉が嫌になっていたようです。この症状を、言葉の教室の先生に相談したところ、やはり親が二人いない日があることが、原因ではないかということでした。いつも経営塾には、泊まりがけ参加していたのですが、第3回目からは、妻は日帰りで参加していました。実践事例掲載の喜びも、当日に分け合うことができていませんでした。なので、子供たちには、私たちが頑張ってきた姿をみせて上げたかったのです。

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 表彰式に向け、娘のドレスを買いにいくときに、いままでの勉強についてと、もしかして、頑張ったことが評価されれば、表彰されるんだよと伝えていました。プリンセス好きの娘には、それがたまらなく楽しみだったようです。そして、息子にも伝えました、。どうしてパパとママがお休みのときに東京に勉強しに行ったのか。それは、CLOVER DENTALに関わる人みんなに幸せになってもらいたいからだよと。頑張るとみんな喜んでくれるんだよと。

 そして、表彰式。雰囲気に飲まれながら、なんとか参加していたところ、望んでいたことが現実になります!

「新人王 CLOVER DENTAL!!!」

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岩渕さんの声で、呼ばれた時、驚きながらも、受け入れている自分がいました。それだけ、スタッフの頑張りをみていたし、妻の頑張りをみていたし、医院が変わっていく姿をみていたし、そして、自分も頑張ったことを知っていたからです。

壇上のことはあまり覚えていません。岩渕さんのセリフも聞こえませんでした(すみません…)挨拶もたどたどしかったと記憶しています。でもね、嬉しかった!

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 翌日、秋田に帰る時、娘と息子がこういいました。

「楽しかったね!また、東京にこようね!!」

 そのときには、息子のどもりは、ほとんど感じませんでした。

少し、パパとママが頑張っていることが伝わったように思えます。

また、来年も。

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