ちょうど10年前の2009年冬。

訳あって、長年勤めていた医院をあとにすることになりました。

最終退職通告は、1ヶ月前。

 

「1ヶ月後には、収入が無くなる。」

家族を養い、2歳の長女を育てるために、私の仕事観は、「お金のため」「生活のため」でした。

先の見えない状態で「お金のため」に決断したのは、半年後に開業すること。準備もまったくしていない状態での開業は、ディーラー・メーカー担当者にも大反対されました。しかも、退職理由が原因で、見えない力によって、ディーラーも撤退する有様。

開業までの半年間を、先輩の医院にお世話になりながら、準備を重ねました。診療の合間に開業準備に時間を使わせていただいたり、一緒に昼休みに開業候補地を探してくれたり、何より経営のイロハを教えていただき、感謝しかありません。。。

そして、半年後の2010年7月。必要最小限の設備と人員で開業しました。ユニット2台、スタッフ3名、テナント開業のごくごく小さな歯科医院です。まさに、吹けば飛ぶ様な小さな小さな歯科医院。1日来院患者数は、10名ほどでしたが、それでも毎日感謝しかありませんでした。

術前術後の説明も、コンサルもすべて自分で行います。院長がカウンセリングに入れば、30分は診療がストップします。30分押したアポイントを元に戻すために、猛スピードで治療します。スタッフがコミュニケーションを取りながら待っていてくれたおかげで、帰られる患者さんはいませんでいた。忙しいなかで、自分のやりたい診療ができる喜びを感じました。しかし、思う様に売り上げがあがりません。

自由診療があれば、すぐに収入があります。保険診療は、2ヶ月先まで収入がありません。最初の半年は、今月の技工料を支払うために、自由診療の売り上げが必要でした。開業して半年後に東日本大震災がやってきます。

運転資金も底をつき、頼みの綱の自由診療も激減。必要な現金がありませんでした。自粛モードの雰囲気の中、復興の気運にも乗れず、覚悟を決め、数ヶ月が経ちました。

「生活のために、なんとか医院を継続しなくてはいけない。」

学会、セミナー参加する費用の前に、医院を運営するための費用を捻出せざるを得ません。セミナー参加はほとんどできず、引きこもりの2年間を過ごします。スタッフの採用はできても、育成ができず、マーケティングもマネジメントも昔教わったものばかりで、うまく行くはずがありません。。。

そして、夫婦関係も同様です。医院で喧嘩、家で喧嘩。先の見えない未来に不安ばかりが募ります。

地元の勉強会では、学術に力を入れ、素晴らしい経営まで行なっている先生ばかり。圧倒的な差を感じ、表面上は気張っても、ボロばかり出てしまいます。。。そうです、口で誤魔化そうと思っても、すぐにバレてしまいます。

 

このままではいけない!そう思って、目に入ったのが、2014年冬、実践会の岩渕夫妻の行っていた「第1回夫婦成功実践塾」。歯科医院だけじゃなく、様々な業種の夫婦経営されている方を対象としたセミナーでした。夫婦でセミナーに参加したのは、初めてです。どんな内容なのか、岩渕さんはどんな方なのか、そして、参加者はどんな方々ばかりなのか、不安を抱えながら参加しました。

「夫婦経営は、喜びは2倍、苦しみは半分。」

私のように、なんの準備もなく、開業・起業することは、本当に無謀なことだったことを知りました。どれだけの方に迷惑をかけていたのか、どれだけ心配させていただのか、ただ自分だけが辛いのだと思っていましたが、全く違いました。妻も同じように苦しみ、そして私の不安を軽減させてくれていたのです。

「まずは、5年のうちに、経営を安定させること。」

これを目標に、一から経営を学びました。実践会ベーシックコース、アドバンスコースを受講し、少しずつ院内も変わってきました。売り上げも安定し、行きたいセミナーにも参加できるようになりました。ようやく他の歯科医院に追いついてきたと感じました。もちろん、上には上がありますが、一番底辺からのスタートですから、平均に追いついただけでも、嬉しいものです!

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そして、学びつづけて4年。ついに、表彰台に登ることができました!

全国各地から参加している200以上の歯科医院で、みごと3位になれました。

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妻と子どもに頑張っている姿をみせる年に一回の表彰式。

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喜んでくれているのかな。

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正直、10年前に、ここまで歯科医院経営が大変だと思いませんでした。自分のやりたい医療を提供していれば、患者さんが向こうからやってくる。そんな時代は、終わりました。そして、どんな歯科医院でも経営がうまくいく時代も終わりました。みんな何らかの工夫をしています。そして最善を尽くしています。この4年間で、同じ学びをしている大切な仲間と知り合うことができました。

来年、クローバーデンタルは、10周年を迎え、さらなる道を進みます。それは、10年前にどん底を味わい、そして、今があるからこそ、思うことができる経営スタイルです。

「私は、私の家族を世界一しあわせにします。

そして、縁あり関わる全ての人々の人生を明るく照らす人となります。」